土地の売却と境界|越境は、測ってみるまで分かりません

売却の進め方

みなさんこんにちは!本音みなとです!

今日もみなさんと一緒に不動産についてお話していきたいと思います!

「うちは昔からこの塀だし、お隣さんとも仲がいいし・・・」

家や土地を売ろうと考えたとき、境界のことを心配される方はあまりいません。何十年も同じ場所に塀が立っていて、誰も困っていないからです。当然ですよね。困っていないので・・・

前回は、家の「中」をどう見せるかのお話でした。今回は、家の「外」のお話です。

境界の話は、住んでいる間は誰も困りません。【困るのは、売るときだけ】です。

しかも、困るタイミングがちょっと意地悪なんです。

測量の手順は土地家屋調査士さんが、お隣ともめたときの話は弁護士さんが、それぞれ詳しく書いてくれています。今日はそのあいだにある、【売るときに、いつ、何が起きるのか】を不動産屋の立場からお伝えします。

まずは前提の整理から!

境界とは・・・土地と土地の境目。自分の土地とお隣の土地を分ける線のことで「境界線」と言われます。

測量とは・・・境界線を明確にするための作業のことです。専門家が測量を行い土地の境界線、大きさを確定します。

もちろん今日も、皆さんへの営業活動は一切しません笑

それでは行きましょう!

同じ「昔からの塀」でも、結果が分かれた2人

今回もいつもの2人の様子を見ていきましょう!

【雑井さん】は、築30年の戸建てを売ることにしました。

法務局にある測量図はずいぶん古いものでしたが、塀も昔からあるし、お隣さんとも長いお付き合い。特に気にせず売り出して、2ヶ月で買主さんが決まりました。

契約のあと、引き渡しに向けて測量をしたところ、分かったことがあります。

雑井さんのブロック塀の基礎が、お隣の土地に数センチ入っていたんです。

さらに、お隣は数年前に代替わりをしていて、今の持ち主は遠方に住む息子さん。立ち会いをお願いしましたが、「よく分からないことに関わりたくない」と断られてしまいました。

測量は、完了できませんでした。

約束の期日が来て、契約は白紙に戻りました。

買主さんには手付金をお返しして、雑井さんはまた売り出しからやり直しです・・・

【貸鯉さん】も、築年数も塀の古さも、ほとんど同じでした。

違ったのは、売り出す前に担当者さんと一緒に、法務局の測量図を見たことです。

図面はやはり古く、現地を歩いてみると、境界杭も1本見当たりません。担当者さんと相談して、【費用はかかるけれど、先に測量しておく】と決めました。

測量で、雨どいが数センチお隣に出ていることが分かりました。貸鯉さんは売り出す前に雨どいを付け替えて、越境をなくしておきました。

測量費は痛い出費でした。それでも、契約のあとは慌てることなく、予定どおりに引き渡しを終えられました✨️

二人とも、自分の不動産がはみ出しているとは思っていなかったのです。

【違ったのは、それが分かったのが契約の前か、後か】です。

①境界標も測量図もない家は、珍しくありません

「うちには境界の杭くらいあるはず」と思われるかもしれません。

でも現場の感覚では、【境界標や測量図がそろっていない家は、おおよそ半分】あります。

境界標というのは、土地の角に埋めてある目印のことです。

  • コンクリートの杭
  • 金属のプレート
  • 道路や塀に打たれた鋲
コンクリート杭
コンクリート
金属プレート
金属プレート
金属の鋲
金属の鋲

こういったものですね。長い年月のあいだに、工事で抜けてしまったり、土に埋もれて見えなくなったりしています。

測量図のほうは、法務局に「地積測量図」という図面が登記されていることがあります。ただ、昔の図面だったり、そもそも登記されていなかったりする土地も少なくありません。

②測量をやるかどうかは、法務局の図面がひとつの目安です

家や土地を売るとき、一般的な売買契約書には【売主は、引き渡しまでに、隣の土地との境界を買主に示す】という約束が書かれています。境界標がなければ、売主の責任と負担で設置する、ともあります。

では、そのために毎回測量をするのかというと、そうではありません。

私たちがまず見るのは、【法務局に、比較的新しい地積測量図が登記されているか】です。

私の場合、10年以内程度に測った図面があれば、測量はしないことが多いです。ただし、この10年は現場の目安で、決まりがあるわけではありません。

戸建てなら、境界にブロックが積んであって、位置がはっきり分かるときは測量をしないこともあります。

反対に、図面が古い、境界標が見当たらない、というときは測量を考えることになります。

③先に測量するか、契約してから測量するか

測量が必要そうだと分かったら、次に決めるのが【いつやるか】です。

【先に測量する(売り出す前)】

  • ◯ 境界の問題が、契約の前に分かる
  • ◆ 売れる前に、お金がかかる

【契約してから測量する】

  • ◯ 買主さんが決まってから払える
  • ◆ 問題が分かるのが、契約のあと

測量の費用は、一般的な住宅地で30万〜80万円ほどと言われています。期間も2ヶ月から半年ほどかかります。先にやれば、売れなかったとしてもこの費用は戻ってきません。

どちらが正解というものではないので、【担当者さんと相談して、その土地の状況で決める】のが一番です。

ちなみに、買主さんから「測量をすること」を条件にされることもあります。その場合は、売主さんの承諾をいただいてから進めます。勝手に進めることはありませんので、ご安心ください笑

④越境は、測ってみるまで分かりません

さて、ここが今回の本題です!

越境というのは、塀や屋根などが、境界を越えてお隣にはみ出していることです。逆に、お隣のものがこちらにはみ出していることもあります。

よくあるのは、こういうものです。

  • ブロック塀の基礎
  • 屋根のひさしや雨どい
  • エアコンの室外機や給湯器
  • 地中の水道管や排水管

数センチのはみ出しは、目で見てもまず分かりません。【測ってみて、初めて分かります】

そして、測量は契約のあとに行うことが多い。ということは、【越境が見つかるのも、契約のあとになることが多い】んです。

冒頭で「困るタイミングがちょっと意地悪」とお伝えしたのは、このことです。

⑤越境が見つかったら、どう片付けるか

見つかったからといって、すぐに売れなくなるわけではありません。現場では、だいたい次の順番で考えます。

【撤去する】

雨どいや室外機など、動かせるものは動かします。これが一番すっきりします。

【覚書を交わす】

塀や建物のように、すぐには動かせないものもあります。その場合は、お隣と「今ははみ出しているけれど、建て替えるときには境界の内側に直す」といった約束を書面にします。これが覚書です。

【分筆して、越境をなくす】

はみ出している部分の土地を切り分けて(分筆といいます)、越境そのものをなくす方法もあります。

どれを選ぶにしても、【お隣の協力が欠かせない】というのがポイントです。

⑥覚書は、持ち主が変わると当然には引き継がれません

ここは少し意外に思われるかもしれません。

「うちは前にお隣と覚書を交わしてあるから大丈夫」という方もいらっしゃいます。

ただ、覚書は【交わした人どうしの約束】です。どちらかの持ち主が変わると、新しい持ち主には当然には引き継がれない、と考えられています。

つまり、皆さんが家を売れば、買主さんとお隣とのあいだでは、その約束が宙に浮いてしまうことがあるんです。

だから売るときは、覚書の内容を買主さんに引き継ぐことを、契約書や新しい覚書にきちんと書いておく必要があります。

覚書があるかどうかだけで安心せず、【その覚書が、次の持ち主にも効くようになっているか】を担当者さんと確認してください。

⑦お隣が立ち会いを断ると、契約が白紙に戻ることもあります

境界を確定させる測量には、お隣の立ち会いが必要です。

お隣が「関わりたくない」と断ったり、空き家で持ち主と連絡が取れなかったりすると、測量が終わりません。

売買契約書には、【お隣の協力が得られず、期日までに測量が終わらなかったら、契約を白紙に戻す】という約束(特約)が入っていることがあります。白紙になると、手付金は買主さんにお返しし、違約金もかかりません。

誰も損をしていないように見えますよね。

でも実際は、売主さんは売り出しからやり直し、買主さんは探し直しです。【失うのは、お金ではなく時間】なんです。

お隣が立ち会わなくても使える「筆界特定制度」という法務局の手続きもあります。ただ、標準的な処理期間は法務局によって6ヶ月から9ヶ月ほど。契約から引き渡しまでの期間に収めるのは、なかなか難しいのが現実です。

それでも決着がつかないときの【最終手段】が、裁判所に境界を決めてもらう「境界確定訴訟」です。

この裁判では、裁判所が必ずどこかに境界の線を引いてくれます。判決には法的な拘束力もあるので、ここで決まった線は動きません。

ただし、それ相応の【お金と時間】がかかります。

土地の境界をめぐる裁判は、平均で1年を超えるというデータがあります(平均15.8ヶ月/平成27年公表の裁判所の報告書)。弁護士さんへの費用や、測量の鑑定費用なども必要で、合わせると100万円を超えることもあります。

そして何より、【お隣を訴えることになる】ので、その後のご近所付き合いにも影響が出かねません。

ですので、これはあくまで最後の手段として、頭の片隅に置いておいてください。

【ここだけの話】不動産屋として一番つらいのが、この白紙解除です。売主さんも買主さんも、誰も悪くないのに、話が止まってしまう。だからこそ、境界のことは売り出す前に一度見ておいてほしいんです。

今日のワンポイント

境界に越境、覚書に筆界特定・・・今日は少し難しい言葉が多かったですよね💦

全部覚える必要はありません。皆さんが気になるのは「結局、売る前に何をしておけばいいの?」ですよね!

しかし!ここだけは、ぜひやってみてください。それは・・・

【売ると決めたら、法務局で地積測量図を取って、いつ測ったものか見る】

これです。

担当者さんに頼めば、一緒に取ってくれることも多いですよ。自分で取得することも可能で、法務局の窓口なら1通450円、ネットならもう少し安く取れます。

なぜこの一手をおすすめするか、理由をお伝えします。

【いつ測った図面かが分かれば、先に測量するかどうかを、売り出す前に担当者さんと相談できるからです】

図面が新しければ、ひと安心です。古かったり、見つからなかったりしたら、担当者さんの現地調査に同行して、境界杭を一緒に見て回ってください。

冒頭の雑井さんと貸鯉さんの違いも、【売り出す前に図面を見たかどうか】でした。

境界は、住んでいる間は誰も気にしません。だからこそ、売ると決めたときが、一度だけ見ておくタイミングなんです!!

まとめ

【境界で困るのは売るとき】→ 住んでいる間は誰も困らない

【境界標や測量図】→ そろっていない家は、半分くらいある

【測量するかの目安】→ 法務局に比較的新しい地積測量図があるか(私の目安は10年)

【先に測量するメリット】→ 境界の問題が契約の前に分かる

【先に測量するデメリット】→ 売れる前に費用(30万〜80万円ほど)がかかる

【越境が見つかるのは】→ 契約したあとの測量で見つかることが多い

【片付け方】→ 撤去/覚書/分筆。どれもお隣の協力が必要

【覚書の注意点】→ 持ち主が変わると当然には引き継がれない

【白紙解除】→ お隣が立ち会わず測量が終わらないと、契約が白紙に戻ることもある

【最終手段】→ 境界確定訴訟。裁判所が境界を決めるが、1年以上・100万円超えも。お隣を訴えることになる

【今日の一手】→ 売ると決めたら、地積測量図を取っていつ測ったか見る

境界の話は、どうしても後回しにされがちです。でも、【分かるのが契約の前か後か】で、結果は大きく変わります。

長く住んだ大切なお家を、気持ちよく次の方に引き継ぐためにも、一度だけ足元を見ておきましょう!

この記事を読み終わったみなさん。境界杭が気になってきましたね!散歩している時、旅行している時、境界杭があるかないか、きっと見てしまいますよ!

それはもう、不動産屋さんと同じ目線で土地を見ています。ある意味職業病ですね笑

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

境界や越境で気になっていること、測量で困ったことなど、コメントで気軽に教えてください!

すでに土地や戸建てを売られた先輩方!境界のことでどうだったか、後輩のみなさんに是非教えてください✨️

一緒に、後悔しない不動産取引を目指しましょう!

不動産売買仲介歴12年。「キレイごとなし、業界の本音」をコンセプトに情報発信中。

次回予告

【次回:特別編|ノウハウ記事40本を書いて見えてきたこと】

今回の記事で、ノウハウ記事が40本になりました!

ここまで読み続けてくださった皆さん、本当にありがとうございます🙇‍♂️

次回は、40本達成の特別編です✨️40本を見返して見えてきたことを、いつも通りの本音でお話ししようと思います。

どうぞお楽しみに!

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