みなさんこんにちは!本音みなとです!
もちろん今日も、皆さんへの営業活動は一切しません笑
「二人の収入を合わせれば、もう少し良い家が買えるかも」
共働きのご夫婦から、この相談は本当によく受けます。実際、一人の年収では届かなかった物件に手が届くようになります。それ自体は、悪いことでも危ないことでもありません。
ただ、前回の最後にお伝えしたとおりです。
【二人で借りる方法の説明は山ほどあるのに、二人で借りたものを終わらせるときの話が、驚くほど少ない】
今日はそこをお伝えします。
仕組みの違いは、調べればすぐ出てくるので、AIに聞いてみてください笑。わざわざこのブログに時間を使ってくれる皆さんには後半をチェックしていただきたいです!【売るとき】【離婚するとき】【一人に戻すとき】に何が起きるかです。
ここは、貸す側の説明にはあまり出てきません。私たちが見ているのは、借りた後の場面だからですね。
同じ時期に、同じくらいの家を買った二人

まず、二組のご夫婦の話をさせてください。
【雑井さん夫婦】は、4,200万円の新築戸建てをペアローンで購入されました。ご主人が2,400万円、奥様が1,800万円。二人とも正社員で、審査もすんなり通りました。
購入から5年後、離婚が決まりました。
家を売ってお金を分けよう、という話になり、査定に伺いました。査定額は3,300万円。決して安くつけた金額ではありません。相場どおりです。
ローンの残りは、二人合わせて約3,800万円でした。
500万円、足りません。
これでは売れません・・・
現金で500万円を用意できなければ、売る手続きに進めないんです。結局、ご主人が住み続けて返済を続け、奥様は【家を出た後も、ご主人のローンの連帯保証人のまま】という状態が続くことになりました。
一方の【貸鯉さん夫婦】は、ほぼ同じ時期に4,100万円の物件を買われています。
こちらは借りる前に、一度だけ、あることを話し合っていました。「もしこの家を手放すことになったら、どうする?」という話です。
その結果、貸鯉さんは貯金から600万円を頭金に入れ、借入を3,500万円に抑えました。二人の希望より、少しグレードを落とした物件になりました。
5年後、転勤が決まりました。残債は約3,000万円。査定額は3,250万円。
売れました。手元に少し残ったお金で、引っ越し先の敷金と、お子さんの学用品を買われたそうです✨️
違ったのは、収入でも、金利でも、物件でもありません。【借りる前に、終わるときの話をしたかどうか】だけです。
①ペアローンと収入合算は、何が違うのか

結論から言うと、【契約書が2本か、1本か】の違いです。
【ペアローン】は、同じ家に対して、夫婦がそれぞれ別々に住宅ローンを組みます。契約は2本。二人とも「お金を借りた本人」であり、同時に【お互いの連帯保証人】になります。
【収入合算】は、契約は1本です。申込む人(主債務者)の収入に、配偶者の収入を足して審査してもらう方法ですね。合算する側は、借りた本人ではありません。
ここまでは、調べればどこにでも書いてあります。図解付きの記事もたくさんあります。
大事なのはこの先で、【この違いが効いてくるのは、借りるときではなく、終わるときだ】ということです。
②収入合算には、実は2種類あります
ここは押さえておいてください。収入合算と一口に言っても、中身は2つに分かれます。
【連帯保証型】…合算する人は「連帯保証人」になります。借りた本人ではありません。
【連帯債務型】…合算する人も「連帯債務者」として、借りた本人になります。
たった二文字の違いに見えますが、この後に出てくる話が、ほとんど全部ここで変わります。
そして少し困ったことに、【連帯債務型を扱っている金融機関は限られます】。フラット35のように連帯債務が使えるところもあれば、連帯保証型しか用意していないところもあります。
「収入合算にしましょう」と言われたとき、どちらの話をされているのか。ここを確認しないまま進む方が、実はとても多いです。
③借りている間に効いてくる違い(住宅ローン控除)

結論から言うと、【借りた本人でなければ、住宅ローン控除は受けられません】。
住宅ローン控除は、住宅ローンを組んだ人の税金が戻ってくる制度です。裏を返すと、ローンを組んでいない人は対象になりません。
- ペアローン → 【二人とも受けられます】
- 収入合算の連帯債務型 → 【二人とも受けられます】
- 収入合算の連帯保証型 → 【主債務者だけ】です
ここで一つ、間違えやすいところをお伝えします。
連帯債務で二人とも控除を受けられる場合、その金額は【持分ではなく、負担割合で決まります】。国税庁もそのように示しています(共有の家屋を連帯債務により取得した場合の借入金の額の計算)。
持分を半分ずつにしたから控除も半分ずつ、とは限らないんですね。持分と負担割合がずれていると、贈与とみなされる場合もあります。
このあたりは税理士さんの領域です。金額が大きくなりそうなら、契約前に一度相談されることをおすすめします。控除そのものの仕組みは住宅ローン控除でいくら戻る?に書きました。
④万が一のときに効いてくる違い(団信)

ここは、いちばん誤解されているところかもしれません。
団信は、ローンを組んだ人が亡くなったときに、残りのローンが保険で消える仕組みです。詳しくは団信って何?入るべき?をご覧ください。
問題は、【誰が団信に入れるのか】です。
- ペアローン → 【消えるのは、亡くなった方のローンだけ】
- 連帯債務型 → 金融機関によります。フラット35なら【残高の全額】
- 連帯保証型 → 【団信には入れません】
連帯債務型の「デュエット」は、どちらか一方に万一のことがあった場合、持分や負担割合にかかわらず残高の全額が弁済されます。借入金利に0.18%が上乗せされます。
ペアローンのところを、もう一度読んでください。
【消えるのは、亡くなった方のローンだけ】です。
4,200万円をペアローンで借りて、ご主人が2,400万円を借りていたとします。ご主人に万一のことがあれば、その2,400万円は消えます。ですが奥様の1,800万円は残ります。
収入は一人分になり、返済は続きます。ここまで具体的に説明を受けている方は、正直あまり多くありません。
⑤終わるときに効いてくる違い(売るとき)
ここからが今日の本題です。
結論から言うと、【ペアローンの家を売るには、2本とも完済する必要があります】。
理由は抵当権にあります。ペアローンでは、同じ家に対して抵当権が2本設定されます。そして抵当権には【不可分性】という性質があります。ここだけ、法律の言葉をそのまま置かせてください。理由は後で分かります。民法372条が準用する296条に、こう書かれています。
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる・・・何を言っているかわかりませんね💦笑
かみ砕くと、【全部返すまで、担保は家の全部にかかったまま】ということです。半分返したから家の半分だけ自由になる、ということはありません。
正確に言えば、抵当権が付いたままでも法律上は売買できます。ですが、買う側からすれば、あとで競売にかけられるかもしれない家を買うことになります。買主の住宅ローンもまず通りません。
だから実務では、【決済の日に売却代金でローンを完済し、抵当権を外す】という流れになります。ペアローンなら、これを2本ともやる必要があるわけですね。
そしてもうひとつ。売却には【所有者全員の同意】が要ります。共有名義であれば、片方が「売りたくない」と言えば、そこで止まります。
⑥売却額がローンに届かないと、どうなるか

結論から言うと、【差額を現金で用意できない限り、売れません】。
雑井さんのケースがこれです。残債3,800万円に対して査定3,300万円。500万円足りませんでした。
この状態を、業界では「オーバーローン」と呼びます。
住み替えであれば、残った分を新しいローンに乗せられる商品もあります(住み替えローン)。ですが離婚の場合、二人はもう別々に暮らします。この方法は使えないことがほとんどです。
ここで効いてくるのが、頭金です。
貸鯉さん夫婦が頭金を600万円入れていたのは、金利を減らすためだけではありませんでした。【売るときに、売却額が残債を上回る状態を早く作るため】でもあったんです。
同じ4,100万円の家でも、借入3,500万円で始めた人と、4,200万円をフルローンで始めた人とでは、【売れるようになるまでの年数が何年も変わります】。
売れない状態がどう生まれるかは、不動産が売れない原因は3つにもまとめています。
⑦離婚したら、連帯保証から抜けられるのか
ここは、はっきりさせておきたいところです。
私も最初は「離婚しても連帯保証は消えません」と言い切りそうになったのですが、正確ではありませんでした。正しくはこうです。
【銀行が承諾すれば、抜けられます。夫婦の間で決めただけでは、抜けられません】
民法472条には、債務者を入れ替える手続き(免責的債務引受)が定められていますが、そのどの方法にも【債権者】、つまり銀行が関わります。
離婚のときに作る協議書は、夫婦の間の約束です。銀行はその約束の当事者ではありません。ですから「家を出るほうは連帯保証を外れる」と書いても、それだけでは銀行に対して効きません。
では銀行が承諾してくれるかというと、これがなかなか難しいんです。銀行からすれば、保証人が一人減るのは担保が弱くなることですから。代わりの保証人を立てる、あるいは残る側が単独で借り換える、といった条件が付くのが普通です。
雑井さんの奥様が家を出た後も連帯保証人のままだったのは、これが理由です。【新しい生活を始めても、前の家の返済の責任だけが残り続ける】。この状態は、想像以上に重いです。
⑧一人の名義に切り替えられるか
結論から言うと、【一人の収入で審査が通るかどうか】がすべてです。
離婚のご相談でいちばん多い希望が、これです。「私が住み続けるので、私だけの名義にしたい」。気持ちはとてもよく分かります。
ですが、ここで冷静に思い出していただきたいことがあります。
【二人で借りたということは、一人では届かなかったということです】
5年前に一人では通らなかった審査が、5年後に一人で通るか。年収が大きく上がっていればあり得ます。ですが多くの場合、残債の減り方より、審査のハードルのほうが高いままです。
もちろん、諦める必要はありません。頭金を入れて借入額を下げる、返済期間を見直す、といった手はあります。審査そのものの考え方は住宅ローンの審査に落ちたに書きました。
ただ、【できるかどうかは、そのときの収入次第】です。ここだけは、事前に約束できるものではありません。
今日のワンポイント
【借りる前に、二人で「売るときどうするか」を一度だけ話しておく】
重い話をしろ、という意味ではありません。1回、15分で十分です。
- もし転勤になったら、この家はどうする?
- もしどちらかが働けなくなったら、返済は続けられる?
- 売ることになったとき、いくらまでなら現金を出せる?
この3つを話しておくだけで、借入額の決め方が変わります。貸鯉さん夫婦が頭金を厚くしたのも、グレードを一つ落としたのも、この15分があったからです。
なぜこの一手をおすすめするか、理由をお伝えします。
【始めるときは、二人で決められます。でも終わるときは、二人で決められないことがあるからです】
借りるときは、二人とも同じ方向を向いています。だから話し合えます。ですが終わるときは、事情が違います。転勤、病気、離婚。どれも、二人の気持ちが揃っているとは限りません。
揃っているうちに、決めておく。それだけです。
住み替えのタイミングそのものについては、売り先行と買い先行どちらがいい?も参考にしてみてください。
まとめ

【契約は2本か1本か】→ ペアローン=2本、収入合算=1本。ここから全部が分かれます
【収入合算は2種類】→ 連帯保証型か連帯債務型か。契約前に必ず確認する
【住宅ローン控除】→ 借りた本人だけ。連帯債務なら負担割合で決まる(持分ではない)
【団信】→ ペアローンは亡くなった方のローンだけが消える。もう1本は残る
【売るとき】→ 2本とも完済しないと抵当権が外れない。所有者全員の同意も要る
【オーバーローン】→ 差額を現金で用意できないと売れない。頭金はここで効く
【連帯保証】→ 銀行が承諾すれば抜けられる。夫婦間の取り決めだけでは抜けられない
【単独名義】→ 一人で審査が通るかどうか。二人で借りたということは、一人では届かなかったということ
【今日の一手】→ 借りる前に15分、二人で「売るときどうするか」を話しておく
二人で借りること自体は、まったく悪い選択ではありません。共働きが当たり前になった今、むしろ自然な形だと思います。
ただ、始めるときの説明と、終わるときの説明の量が、あまりにも釣り合っていません。今日はその釣り合いを、少しだけ戻したかったんです。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
二人で住宅ローンを組むか迷っている方、すでに組んでいて不安になった方、どんな小さな疑問でもコメントで気軽に教えてください!
すでにペアローンや収入合算で家を買われた先輩方!実際に借りるときに聞いておいて良かったこと、逆に聞いておけば良かったことを、後輩のみなさんに是非教えてください✨️
一緒に、後悔しない不動産取引を目指しましょう!
不動産売買仲介歴12年。「キレイごとなし、業界の本音」をコンセプトに情報発信中。
次回予告
【次回:離婚が決まったら、家はどうなるのか|住み続ける・売る・貸すの分かれ道】
今日は「借りる前に知っておいてほしいこと」として書きました。ですが実際には、もう組んでしまった後で困っている方のほうが多いです。
次回は、その場面に踏み込みます。住み続けるのか、売るのか、貸すのか。それぞれで何が起きるのか、そして【いちばん多い勘違い】について書きます。
「家は私がもらう」という取り決めが、実はほとんど意味を持たないことがあります。その理由もお伝えします。



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