みなさんこんにちは!本音みなとです!
今日はテーマがテーマなので、少し身構えてしまうかもしれません。
ただ、【今まさに悩んでいる方にこそ読んでほしくて書きました】。どちらが悪いとか、どうすべきだとか、そういう話は一切しません。今日は数字の話だけします。
もちろん今日も、皆さんへの営業活動は一切しません!
前回の最後に、こうお伝えしました。「家は私がもらう」という取り決めが、実はほとんど意味を持たないことがあります、と。
その理由も書きます。ですがその前に、もっと手前でつまずいている方がとても多いので、そちらを先にお伝えさせてください。
半年、話が止まったご夫婦

前回、雑井さんご夫婦の話をしました。ペアローンで買った家を、離婚のときに売ろうとして売れなかったご夫婦です。
実はあのご夫婦、【売れないと分かるまでに半年かかっています】。
半年のあいだ、何をしていたのでしょう・・・
それは、両者による話し合いです。
「家は私がもらう」「いや、ローンは俺が払ってるんだから」「養育費の代わりにこの家を」——こういう話を、何度も何度もされていました。
弁護士さんにも相談されたそうです。そこで言われたのは「オーバーローンかどうかで話が変わります」ということでした。正しいアドバイスです。
でも、雑井さんご夫婦は【自分たちがオーバーローンなのかどうかを、知らなかった】んです。
私が査定に伺ったのは、半年経ってからでした。査定額は3,300万円。ローンの残りは約3,800万円。500万円足りませんでした。
半年の話し合いは、【前提が分からないまま進めていた】ことになります。
一方、貸鯉さんご夫婦は違いました。
離婚を決めた週に、まず2つのことをされたんです。銀行に残債を聞いて、私に査定を頼む。それだけです。
【3日で両方の数字が揃いました】。
結果は、残債より査定額のほうが上でした。売って、残ったお金を分ける。話し合いはその日のうちに方向が決まったそうです✨️
もめなかったわけではありません。ただ、【もめる場所が「感情」ではなく「条件」になった】。ここが大きな違いでした。
①なぜ、話が進まないのか
結論から言うと、【分岐の条件は調べれば分かるのに、自分がどっちの分岐にいるかが分からないから】です。
離婚と住宅ローンについて調べると、法律事務所の記事がたくさん出てきます。どれも丁寧で、正確です。
そしてほぼ全ての記事に、こう書いてあります。
「アンダーローンなら財産分与の対象になります」 「オーバーローンなら、まず差額をどうするか決めましょう」
そのとおりなんです。ですが、ここで手が止まる方が本当に多い。
【うちはどっちなんだろう】どうしたら分かるのでしょうか・・・
そして、この判定に必要な数字は2つだけです。残債と、売却できる金額。【この2つが出るまで、話し合いは前に進みません】
②残債を調べる(これは1日でできます)

結論から言うと、【銀行に聞けば、その日のうちに分かります】。
住宅ローンの残りは、次のどれかで確認できます。
- 毎年送られてくる【返済予定表】(償還予定表)
- ネットバンキングの【残高照会】
- 銀行に電話して【残高証明書】を頼む
ペアローンの場合は【2本とも】確認してください。片方だけ見て安心してしまう方がいます。
ここは難しくありません。難しいのは、次です。
③売却できる金額を知る(今日いちばん大事なところ)

結論から言うと、【これを出せるのは不動産屋だけです】。
残債は銀行が教えてくれます。でも「この家がいくらで売れるか」は、銀行も弁護士さんも教えてくれません。だから、ここだけが空白のまま残ってしまうんですね。
査定の頼み方について、離婚のご相談でよく聞かれることが3つあります。
【離婚だと伝えるべきですか?】
伝えなくて構いません。ただ、伝えていただけると【期限のある売り方】を前提に考えられます。離婚は、いつまでに現金化したいかが決まっていることが多いからですね。言いにくければ「事情があって時期を決めたい」だけでも十分です。
【机上査定と訪問査定、どちらですか?】
話し合いの材料にするなら【訪問査定】をおすすめします。机上査定は数字の幅が広く出るので、「その額なら私が住む」「いや安すぎる」と、また揉める材料になってしまいます。違いは机上査定と訪問査定は何が違う?に書きました。
【何社に頼むべきですか?】
2社か3社です。1社だとその数字が正しいのか分かりません。ただ5社6社と増やすと、今度は【高い数字を言った会社を信じたくなる】ので、かえって判断が鈍ります。
④2つの数字が出ると、道は3つに絞れます
結論から言うと、【売却額が残債を上回るかどうかで、選べる道が変わります】。
査定額が残債より【上】なら(アンダーローン) → 売って、残ったお金を分けられます。いちばん後腐れがありません。
査定額が残債より【下】なら(オーバーローン) → 差額を現金で埋めない限り売れません。ここから先が本題になります。
そのうえで、実際に選ばれる道は3つです。売る。住み続ける。貸す。順番に見ていきます。
⑤売る

【いちばん多く、いちばん揉めにくい選択です】。
理由は単純で、【家という分けられないものが、お金という分けられるものに変わるから】です。
注意点を2つだけ。
ひとつは、【売るには名義人全員の同意が要る】こと。共有名義なら、片方が首を縦に振らなければ手続きは進みません。
もうひとつは時間です。買主を探して、契約して、決済まで。何もなくても【3ヶ月前後】はかかります。売れない理由が別にある場合はもっとかかります(→不動産が売れない原因は3つ)。
離婚の時期を先に決めてしまうと、この3ヶ月が重くのしかかります。【売ると決めたなら、早めに動き出したほうがラクです】
⑥住み続ける
これは、【ローンの名義人と、住む人が一致しているかどうかがすべて】です。
名義人本人が住み続けるなら、話はシンプルです。返済を続けるだけですね。
問題は、【名義人ではないほうが住み続ける】場合です。離婚のご相談でいちばん多い希望が、これです。
このとき起きることを、正直に書きます。
- ローンを払うのは出ていくほう。住むのは残るほう
- 出ていったほうが払わなくなれば、【住んでいる側が家を失います】
- そして残るほうが連帯保証人なら、【出ていっても責任は消えません】
連帯保証から抜けられるかどうかは、前回書いたとおりです。銀行が承諾すれば抜けられます。夫婦の間で決めただけでは抜けられません(→ペアローンと収入合算の違い)。
⑦貸す
これは注意が必要です!【黙って貸すのは危ないです。ただし、相談すれば道がある場合もあります】。
「売りたくないし、住まないなら貸せばいい」。これもよく出てくる案です。
ただ、住宅ローンは【自分が住むための融資】です。投資用のローンとは金利がまったく違います。だから黙って貸すと、目的外の利用になってしまいます。
フラット35の公式Q&Aには、こう書かれています。
転勤等のやむを得ないご事情で、一時的に居住できない場合、融資住宅に戻ることを前提に賃貸することは可能です。
固い言い回しですが、大事なのは【戻ることを前提に】の部分ですね💦
転勤なら、いつか戻ります。だから認められる余地があります。
【ですが離婚では、戻る前提が成り立ちません】
同じ「貸す」でも、転勤と離婚では話がまったく違うんです。ここを同じだと思って進めてしまうと、後から【全額を一括で返してください】と言われる可能性があります。
貸すことを考えるなら、【まず銀行に相談してください】。黙って進めるのがいちばん危ない選択です。
⑧「家は私がもらう」が、効かないことがある理由

結論から言うと、【銀行は、その約束の当事者ではないからです】。
離婚のときには、財産分与の取り決めをします。公正証書にされる方も多いです。しっかりした手続きですし、作る価値はあります。
ただ、そこに何が書いてあっても、【銀行との契約は別のところで生きたまま】です。
「家は私がもらう」と書いても、ローンの名義は変わりません。 「ローンは夫が払う」と書いても、妻の連帯保証は消えません。 公正証書にしても、そこは同じです。
理由はひとつだけで、【銀行はその話し合いに参加していないから】ですね。夫婦の間の約束は、夫婦の間でしか効きません。
これは前回のペアローンの話と、まったく同じ構造です。【名義や保証を動かしたいなら、銀行に行くしかありません】
今日のワンポイント
【弁護士に相談する前に、残債と査定額の2つの数字を用意していく】
弁護士さんが頼りにならない、という意味ではまったくありません。むしろ逆です。
弁護士さんは【法律の分岐】を正確に示してくれます。アンダーローンならこう、オーバーローンならこう、と。
ですが、【どちらの分岐に入るかを決めるのは、不動産の数字】なんです。そしてその数字は、法律相談の場では出てきません。
雑井さんご夫婦の半年と、貸鯉さんご夫婦の3日を分けたのは、ここでした。
なぜこの一手をおすすめするか、理由をお伝えします。
【数字が無いまま話し合うと、「気持ち」で殴り合うことになるからです】
家をどうするかは、本当は条件の問題です。いくらで売れて、いくら残るのか。それが分かれば、選べる道は3つに絞られます。
でも数字が無いと、【条件の話ができないので、感情の話になってしまう】。そして感情の話は、終わりません。
2つの数字を先に出す。それだけで、話し合いの中身が変わります。
まとめ

【まず2つの数字】→ 残債(銀行)と査定額(不動産屋)。これが無いと何も決まらない
【残債】→ 返済予定表・ネットバンキング・残高証明書。ペアローンなら2本とも
【査定】→ 訪問査定で2〜3社。多すぎると高い数字を信じたくなる
【アンダーローン】→ 売って分けられる。いちばん後腐れがない
【オーバーローン】→ 差額を現金で埋めない限り売れない
【売る】→ 名義人全員の同意が要る。決済まで3ヶ月前後は見る
【住み続ける】→ 名義人と住む人が違うと、住んでいる側が家を失うことがある
【貸す】→ 黙って貸さない。「戻ることを前提に」が離婚では成り立たない
【公正証書】→ 夫婦の間では効く。銀行には効かない
【今日の一手】→ 弁護士に相談する前に、残債と査定額を用意していく
離婚のご相談は、正直に言うと気が重い仕事です。ご夫婦の一番しんどいところに立ち会うことになりますから。
ただ、査定書をお渡ししたときに、少しだけ空気が変わることがあります。【分からなかったことが分かった、というだけで、人は前を向けるんだなと思います】
今まさに悩んでいる方がいたら、まず数字を2つ、揃えてみてください。
しんどい時期でも少しずつ前に進むことで道は開けてきます。
こういう時でも不動産屋さんは前に進む手助けをしてくれます。
大変なときは人を頼ることが大切です!
信頼できる不動産屋さんへ、お話してみましょう。1歩でも行動すると気持ちが楽になると思いますよ✨️
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
聞きにくいこと、誰にも相談できないことがあれば、コメントで気軽に教えてください!
すでに同じ経験をされた先輩方!「これを先に知っておけばよかった」ということがあれば、後輩のみなさんに是非教えてください✨️
一緒に、後悔しない不動産取引を目指しましょう!
不動産売買仲介歴12年。「キレイごとなし、業界の本音」をコンセプトに情報発信中。
次回予告
【次回:買取と仲介、どちらで売るか|早く終わらせたい人が知っておくべき差】
今日「売る」の話をしましたが、実は売り方には2つあります。買主を探す【仲介】と、不動産会社に直接買ってもらう【買取】です。
離婚のように【期限がある売却】では、買取を勧められることがあります。早く終わるからです。
ただ、そこには必ず【差額】があります。いくら違うのか、そしてどういうときに買取を選ぶべきなのか。
次回は、その差額の正体を書きます。



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