浸水想定区域の家を買うのはあり?|浜松の防潮堤と、不動産屋が実際に見ている基準

浜松の不動産事情

みなさんこんにちは!本音みなとです!

今日も不動産の本音をお伝えしていきます。今回は浜松の不動産事情シリーズ、テーマは「ハザードマップ」です。

もちろん今日も、皆さんへの営業活動は一切しません笑

それでは行きましょう!

浜松で家を探していると、必ず一度はこの瞬間が来ます。

ハザードマップを開いて、気に入った物件のあたりに色が付いている。

【この家、やめたほうがいいんでしょうか】

そう聞かれることが本当に多いです。

先に、私の答えをお伝えしておきます。

【色が付いているかどうかでは決められません。見るのは深さと逃げ方です】

今日は、不動産屋が実際に何を見て判断しているのかをお話しします。

今回も貸鯉さんと雑井さんの例を見てみましょう!

雑井さんは、ハザードマップで色の付いたエリアを片っ端から候補から外しました。半年探し続けて、最後は予算内で唯一「色が付いていない」家を買います。ところが駅からも学校からも遠く、駐車場も1台分。あとで分かったことですが、最初に外した家の想定浸水深はわずか30センチでした。しかもその土地は道路より高く盛られていました。

貸鯉さんも、候補の家に色が付いていました。ただ、そこで止まらずに調べています。想定浸水深、前面道路との高低差、2階に上がれるかどうか。そのうえで火災保険に水災の補償を付けて購入しました。数年後に転勤で売却したときも、スムーズに希望通りの条件で買主さんが決まりました。

同じ「色が付いた家」でも、【深さを見たかどうか】でここまで変わります。

①重要事項説明で説明されること、されないこと

まず制度の話からです。ここを知っている方はほとんどいません。

契約前の重要事項説明では、自然災害について次の4つを説明することになっています。

  • ◯ 造成宅地防災区域内かどうか
  • ◯ 土砂災害警戒区域内かどうか
  • ◯ 津波災害警戒区域内かどうか
  • ◯ 水害ハザードマップ上で、その物件がどこに位置するか

4つ目が加わったのは令和2年8月28日です。宅地建物取引業法の施行規則が変わり、水害ハザードマップを使った説明が義務になりました。売買でも賃貸でも同じです。

ここで、性質の違いを押さえてください。

【上の3つは、区域に入っているかいないか、それだけです】

入っていれば説明されますが、入っていなければ「該当なし」で終わります。

【地図の上で位置を示す義務があるのは、4つ目の水害ハザードマップだけです】

そして水害ハザードマップの対象は、水防法に基づく洪水・雨水出水・高潮の3種類です。津波のハザードマップは、この中に入っていません。

浜松の方には、ここからが大事です。

【浜松市は、津波災害警戒区域に指定されていません】

静岡県内で指定されているのは14市町です。西隣の湖西市も、同じ遠州の掛川市や御前崎市も入っていますが、浜松市は入っていません。

つまり重要事項説明では、津波災害警戒区域について【該当なし】と説明されます。

ここを取り違えないでください。

【該当なしは、津波の心配がないという意味ではありません】

区域の指定は県が行うものです。指定していないことと、危険がないことは別の話です。実際、浜松市は津波の浸水想定図を公開し続けています。

もうひとつ。

【水害ハザードマップの説明も、おおむねの位置を示せば足りるとされています】

何メートル浸かる想定か、どこに逃げればいいか、そこまでは義務ではありません。

だから私はこう思っています。

【重要事項説明を聞いたから大丈夫、ではありません。あれは出発点です】

重要事項説明書のポイントは別の記事にまとめていますので、あわせて読んでみてください。

②浜松の前提:防潮堤ができて何が変わったか

浜松の話をする前に、どうしても触れておきたいことがあります。

浜松の沿岸には、全長約17.5キロメートルの防潮堤があります。

天竜川の西岸から浜名湖の今切口の東岸まで。令和2年3月31日に本体が完成しました。

そして、この防潮堤の財源です。

地元企業の一条工務店グループが、計300億円を寄付しています。

地元では「一条堤」と呼ばれています。民間からの寄付でこの規模の防潮堤ができたのは、全国的にも例がありません。

浜松市の説明では、静岡県第4次地震被害想定の前提となる津波高を上回る高さで整備されており、南海トラフ巨大地震による最大浸水深、いわゆるレベル2に対しても大きな減災効果が見込まれるとされています。

ここで誤解しないでいただきたいのは、次の点です。

【防潮堤ができたから津波が来ない、という話ではありません】

浜松市の浸水想定図は今も公開されていますし、河川を遡ってくる津波や、堤防を越える可能性まで無くなったわけではありません。

私がお伝えしたいのはこういうことです。

【10年前の浜松の常識と、いまの浜松の条件は違います】

「浜松の南は危ないらしい」という話を、震災の頃の記憶のまま持っている方が今もいらっしゃいます。判断するなら、いまのハザードマップと、いまの防潮堤を前提にしてください。

土地選びの全体像は浜松で土地から探して家を建てるならにまとめています。

③買っていいかを、どこで判断するか

ここからが本題です。私が実際に見ている順番でお話しします。

【見るのは色ではなく、想定浸水深です】

ハザードマップは色分けされていますが、大事なのは何メートル浸かる想定かです。同じ色でも意味がまったく違います。

私はこの2つの数字を基準にしています。

ひとつ目の目安は0.5メートル

木造住宅の1階の床は、地面から45センチ以上の高さにするのが基本です。つまり想定浸水深が50センチ未満なら、床上まで来ない可能性があります。床下で済むかどうかは、その後の生活への影響がまったく違います。

ふたつ目の目安は3メートル

2階建ての2階の床は、地面からおおむね3メートル前後です。想定浸水深が3メートルを超えると、2階に上がっても水が来ます。

【家の中で上に逃げる、という選択肢が消えます】

ここが一番大きな分かれ目だと思っています。

そのうえで、現地では次を確認してください。

  • ◯ 前面道路と敷地に高低差があるか(盛土されているか)
  • ◯ 敷地内に水が集まる形になっていないか
  • ◯ 2階があるか、屋根に上がれる構造か
  • ◯ 徒歩で行ける範囲に高い建物や高台があるか
  • ◯ 家の前の道が、避難時に渋滞しそうな道か

雑井さんが外した家は、想定浸水深30センチで、道路より高く盛られていました。色は付いていましたが、実質的なリスクは小さかったんです。

【色を見て判断すると、こういう家を見落とします】

④お金の話:保険とローンと価格

判断のもうひとつの軸がお金です。ここは誤解が多いところです。

まず火災保険です。

水災の保険料は、2024年10月から市区町村ごとに5段階に分かれました。

以前は全国一律でしたが、いまは自治体ごとのリスクに応じて変わります。一番安い区分と一番高い区分では、最大でおよそ1.2倍の差が出ます。

ここで多くの方が誤解されます。

【分かれているのは市区町村単位です。同じ浜松市内なら、ハザードマップの色に関係なく同じです】

「赤い場所の家は保険料が高いのでは」と心配される方が多いのですが、そうではありません。浜松市内の物件なら、沿岸でも内陸でも水災の料率は同じです。

そして大事なのはこちらです。

【水災の補償は、外すことができます】

保険料を下げるために外している方が実際にいます。浸水想定区域の家を買うなら、ここは絶対に付けてください。外して安くなる金額と、浸水したときの損害は、比べるまでもありません。

住宅ローンについても触れておきます。

【浸水想定区域だからという理由で、住宅ローンが組めなくなることは基本的にありません】

住宅ローン控除も同じで、浸水想定区域であることは要件に関係しません。

ただし例外があります。災害危険区域や土砂災害特別警戒区域のように、建築そのものに制限がかかる区域は別です。こちらは担保評価にも影響します。

【浸水想定区域と、建築が制限される区域は、まったく別のものです】

ここは混同しないでください。

価格については、正直にお伝えします。同じような条件なら、浸水想定のあるエリアのほうが安く出ていることは実際にあります。それを【割安と見るか、将来のリスクと見るか】は、次の話につながります。

⑤将来、売れるのか

ここが一番聞かれることかもしれません。

【浸水想定区域だから売れない、ということはありません】

浜松の場合、市街地のかなりの範囲が何らかの浸水想定に入っています。そこを全部避けていたら、住む場所がほとんどなくなります。買う人も同じ状況なので、それだけで売れなくなることはありません。

ただし、条件があります。

【実際に浸水した履歴があるかどうかで、話がまったく変わります】

想定と実績は別物です。過去に床上浸水した家は、売るときにその事実を買主に伝える必要があります。伝えずに売れば、あとで責任を問われます。

だから、買うときにこれを確認してください。

【この家は、過去に浸水したことがありますか】

売主が知っていれば答えなければならない事項です。近隣の方に聞くのも有効です。

売却が長引く原因の切り分け方は不動産が売れない原因は3つで書いたとおりですが、浸水履歴はその中でも【あとから消せない条件】に入ります。

〜ワンポイント・アドバイス〜

いろいろお伝えしましたが、皆さんが気になるのは「結局、この家は買っていいの・・・」ですよね笑。

判断の材料は増えましたが、最後に決めるのは自分です。そこで、ここだけは確実にやってください。それは・・・

【雨の日に、もう一度その家を見に行く】

拍子抜けされたかもしれません。でも、これが一番効きます。

理由はシンプルです。

【ハザードマップは想定ですが、雨の日の道路は事実だからです】

ハザードマップは南海トラフや大雨を想定した計算結果です。とても大事な資料ですが、あくまで想定です。

一方、強い雨が降った日にその家の前に立てば、水がどこに集まるか、道路のどこが冠水しやすいか、排水が追いついているかが、その場で見えます。近所の方が出ていれば「ここ、雨のとき溜まりますか」と一言聞くこともできます。

晴れた日の内見では、絶対に分かりません。

そしてもうひとつ。雨の日に見に行くと、【その土地で暮らす感覚】が分かります。駐車場から玄関までどれくらい濡れるか、洗濯物をどこに干すことになるか。防災とは関係ありませんが、こちらのほうが毎日効いてきます。

浸水想定区域かどうかに関わらず、雨の日の内見はおすすめです。

まとめ:ハザードマップで色が付いていたときの確認リスト

順番どおりに確認してください。

  • ☐ 色ではなく、想定浸水深の数字を確認した
  • ☐ 0.5メートル未満かどうかを見た(床上まで来るか)
  • ☐ 3メートルを超えるかどうかを見た(2階に逃げられるか)
  • ☐ 前面道路との高低差を現地で確認した
  • ☐ 津波災害警戒区域は浜松市では「該当なし」と説明されることを理解した
  • ☐ 洪水・内水・高潮だけでなく、津波と土砂災害のマップも自分で見た
  • ☐ 過去に浸水した履歴があるかを売主に確認した
  • ☐ 火災保険に水災の補償を付ける前提で見積もりを取った
  • ☐ 災害危険区域など、建築制限のある区域ではないことを確認した
  • ☐ 雨の日にもう一度見に行った

そして忘れないでください。

【ハザードマップは、買わない理由を探す道具ではありません】

どこに住んでも、何かしらのリスクはあります。大事なのは、そのリスクを知ったうえで選ぶことです。知らずに買うのと、知って選ぶのとでは、同じ家でもまったく違います。

最後に

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ハザードマップについて「これは誰に聞けばいいか分からない」ということがあれば、ぜひコメント欄で気軽に教えてください!

そして、すでに浜松で家を買われた先輩方!物件を選ぶときにどこまで調べたか、住んでみて気づいたことを、後輩のみなさんに是非教えてください✨️ 経験談が一番参考になります。

物件選びで判断に迷ったときは、信頼できるお近くの不動産屋さんに相談してみてください。見つけ方は、このブログを読んでくれている皆さんなら知っていますよね!

浜松の不動産事情シリーズは、ひとまずこの3本で一区切りです。反応を見ながら、また書いていきます。

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不動産売買仲介歴12年。「キレイごとなし、業界の本音」をコンセプトに情報発信中。

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