みなさんこんにちは!本音みなとです!
今日も不動産の本音をお伝えしていきます。今回のテーマは「ホームインスペクション」。
もちろん今日も、皆さんへの営業活動は一切しません笑
それでは行きましょう!
「気に入った中古住宅があるので、ホームインスペクションをお願いしたいのですが」
そう伝えたときの、担当者の表情。
はっきり断られたわけじゃない。でも、なんとなく空気が変わった。「うーん、この物件は大丈夫だと思いますよ」と言われて、話がそのまま流れていった。
・・・こういう経験、ありませんか?
ネットには「嫌がるのは、隠したいことがあるからです」と書いてあります。12年この仕事をしていますが、正直に言います。
【それも、あります】
ありますが、それだけではありません。
【正当な理由で慎重になっている場合と、こちらの都合で嫌がっている場合が、両方あります】
同じ渋い顔でも、中身がまったく違うんです。そして皆さんが本当に知りたいのは、たぶん【この担当者を、信用していいのか】ですよね。
今日はそこまで、外から見た推測ではなく、現場にいる側の一人称でお話しします。
今回も貸鯉さんと雑井さんの例を見てみましょう!
雑井さんは築25年の中古戸建てを気に入り、契約前に「インスペクションをしたい」と伝えました。ところが「この物件は大手ハウスメーカーが建築した建物なので安心ですよ!それに売主さんも売却を急いでいるんです・・・」と言われ、少し気になったものの、そういうものかと引き下がりました。引渡しから半年後、2階の天井にシミが出ました。屋根まわりからの雨漏りで、改修に120万円かかってしまいました。
貸鯉さんも同じように渋い顔をされました。ただ、そこで一言だけ聞いたんです。
「それは、売主さんが同意されないということですか? それとも御社の方針ですか?」
担当者は売主さんに確認してくれました。返ってきた答えは【売主さんが高齢で、半日立ち会うのが体力的にきつい】。そこで不動産会社が立会いを代わることで話がまとまり、調査を実施できました。結果は「概ね良好、ただしバルコニーの防水は数年内に要補修」。貸鯉さんはその分を織り込んで価格交渉し、購入することにしました。
同じ「嫌がられた」でも、【聞き方ひとつで中身が見えました】。

①「ホームインスペクション」と「建物状況調査」は同じではありません
結論から言うと、ここのズレが会話をこじらせています。
皆さんが検索する言葉は「ホームインスペクション」や「住宅診断」ですよね。一方で、私たち不動産屋が制度として扱っているのは【建物状況調査】という別物です。国交省も、こうした名称のサービスは事業者ごとに内容が違うと注意を促しています。
その建物状況調査とは、【国の登録講習を修了した建築士(既存住宅状況調査技術者)】が、国の定めた基準に沿って、目視・計測を中心とした非破壊検査で行うものです。
対象は【構造耐力上主要な部分】と【雨水の浸入を防止する部分】。家の骨組みと、雨が入ってこないか。ここに絞った調査です。ですから、
【給排水管や設備は、建物状況調査の対象ではありません】
「水回りも見てもらえるんですよね?」とよく聞かれるのですが、標準ではオプション扱い。地中もシロアリも入りません。時間は1〜3時間程度、費用は6万円程度からが目安で、依頼した人の負担が一般的です。
そして、これが一番大事かもしれません。
【建物状況調査は、瑕疵がないことを保証するものではありません】
国交省の資料にも媒介契約書にも、はっきりそう書いてあります。健康診断であって、健康保証書ではないんです。
・・・とはいえ、健康診断を受けずに一生を過ごす人はいませんよね。それと同じ話です。

②制度は「不動産会社があっせんする」前提で作られています
ここを知っているかどうかで、担当者との会話の景色が変わります。
宅建業法では、中古住宅の売買を仲介するとき、不動産会社は媒介契約書に【建物状況調査を実施する者のあっせんの有無】を書かなければなりません(34条の2)。
この「あっせん」、業者を紹介するだけでは足りません。国交省のQ&Aには、調査する人と売主・買主の間で実施に向けた具体的なやりとりが行われるように手配することであり、【単なる情報提供はあっせんではない】と書かれています。
そして、ここからが本題です。
【2024年4月1日から、あっせんを「無」にする場合は、その理由を媒介契約書に書かなければならなくなりました】
なぜそんな改正が入ったと思いますか。
【ほとんどの会社が、一律で「無」にチェックを入れていたから】です。国土交通省の資料(改正宅地建物取引業法の施行状況及び今後の見直しの方向性について)によると、一律にあっせん「無」としている会社が7割を超えていました。説明もしないまま、無。それが実態でした。
だから国は、理由を書かせることにしたんです。記載例まで示しています。
- ◯ 依頼者があっせんを希望しないため
- ◯ 物件の所有者から、建物状況調査の実施の同意が得られないため
- ◯ 既に建物状況調査が実施されているため
この2つ目、注目してください。【「所有者の同意が得られない」というケースを、国自身が想定しています】。制度の側も、断られることがあると分かったうえで作られているということです。

③嫌がる理由その1:手間だけ増えて、収入は1円も増えないから
ここからは、検査する側の推測ではなく、【私たち仲介の側が実際に何を考えているか】をお話しします。いちばん大きいのは、これです。
【あっせんをしても、報酬は1円も増えません】
国交省のQ&Aにはっきり書かれています。あっせんは媒介業務の一環なので、媒介報酬とは別にあっせん料を受け取ることはできない、と。
一方で、やることは確実に増えます。
- ◯ 調査できる建築士を探して、見積もりを取る
- ◯ 売主さんに実施の承諾を取り、3者で日程を合わせる
- ◯ 当日の立会いを段取りする
- ◯ 報告書を受け取り、重要事項説明に反映する
しかも日程が入るぶん、契約が1〜2週間うしろにずれます。
正直に申し上げます。
【これは、完全にこちらの都合です】
手間が増えて、収入は増えず、契約は遅れる。だから一律で「無」にする会社が7割あったわけです。隠したいことがあったからではなく、面倒だったから。身も蓋もないですが、これが実態にいちばん近いと思っています。
そして、ここは朗報でもあります。
【面倒だから嫌がっている担当者は、こちらが本気だと分かれば動きます】
④嫌がる理由その2:買主が調べると、報告書が「外」に残るから
これは、業界の外からはほとんど見えない話です。
前提として、調査は売主・買主どちらが実施しても構いません。ただし【買主が実施する場合は、売主の承諾が必要】です。
さて。買主さんが自分で費用を出して調査をして、結果が良くなくて、購入を見送ったとします。そのとき報告書はどうなると思いますか。国交省のQ&Aは、こう答えています。
【調査の依頼者が購入希望者の場合、結果の概要と報告書は購入希望者に渡されます】
契約に至らなかった買主さんの手元に、その家の弱点を書いた書類が残るということです。これを嫌がる売主さんは実際にいますし、仲介する側も、次の買主さんにどう説明するのかという話になるので緊張します。
・・・でも、私はこう思っています。
【隠したほうが、圧倒的に危ないです】
理由は3つあります。
1つ目。民法572条で、免責特約をしていても【知りながら告げなかった事実については責任を免れられません】。知っていて黙るのが、いちばん重いんです。
2つ目。国交省の資料には、実施しないリスクとして【媒介した宅建業者は、説明が不十分だった場合等、調査義務違反に問われる可能性がある】と明記されています。しかも免責特約があっても同じだ、と。渋った側にもリスクがあるんです。
3つ目。実務の感覚として、【調査を渋られた買主さんは、その家ではなく担当者を疑い始めます】。隠して得することは、何もないんです。
契約不適合責任については【契約不適合責任って何?中古住宅で不具合が見つかったときの話】(VOL.17)をご覧ください。

⑤嫌がる理由その3:売主さんの事情とスケジュール【これは正当です】
ここが、同じテーマの記事がほとんど書いていないところです。【嫌がる=悪い担当者、とは限りません】。現場でよくあるのは、こういうケースです。
- ◯ 【売主さんが高齢】で、半日の立会いが体力的にきつい(立会いは所有者が行うのが一般的です)
- ◯ 相続した空き家で、【売主さんが遠方】。鍵を開けに来られない
- ◯ 居住中で、家具で床や壁が見えない
- ◯ 買付から契約まで1週間しかなく、【物理的に日程が入らない】
- ◯ マンションで、共用部分の調査に管理組合の了承が要る
とくに家具の件は、思っているより影響します。点検口がない、移動困難な家具がある、雨や雪で目視できない。こうした場合は報告書に【「調査できなかった」と記載される】ことになっています。
6万円払って「調査できませんでした」と書かれた紙が返ってくる。買主さんにとっても不本意ですよね。だから慎重になる担当者がいます。
こういうときに信用できるかどうかは、【代案を出してくるかどうか】で分かります。
- ◯ 「立会いは弊社が代わりましょうか」
- ◯ 「契約の日程を1週間後ろにずらせないか、売主さんに相談してみます」
- ◯ 「先に点検口の有無だけ確認しておきます」
こう言ってくれる人は、慎重なだけで、あなたの側に立っています。
⑥嫌がる理由その4:両手仲介という構造の問題
ここは慎重に書きます。断定はしません。ただ、触れないわけにはいかない話です。
このブログの1本目に書いた【両手仲介】をお読みいただけているでしょうか。売主さんからも買主さんからも手数料をもらえる取引のことです。自社で買主さんも見つけた取引は、収入が単純に倍になります。
さて。買主さんが調査を入れて、不具合が見つかって、購入を取りやめたとします。
そのとき失われるのは、買主さんからの手数料だけではありません。【自社で見つけた買主さん】が消えるということは、両手の取引が片手に戻るということです。さらに、調査で日程が延びているあいだに他社の買主さんが先に買付を入れてくれば、やはり両手が消えます。
私は「だから業者は悪だ」と言いたいわけではありません。ただ、【調査に前向きになれない力学が、構造として存在しています】。手数料の仕組みそのものが、そう出来ているからです。詳しくは【両手仲介とは?? 12年の仲介業者が本音で語るメリット・デメリットと対策】(記事#1)に書いています。

⑦では、この担当者は信用していいのか
長文になってしまいすみません💦
ここまでの前提を整理しておかないと、この記事の内容が伝わらないため丁寧にお伝えしてきました。
お待たせしました!ここが今日の本題です!
見分け方は、意外なほど簡単です。
【「あっせん『無』の理由は、媒介契約書に何と書いてありますか?」と聞いてください】
2024年4月から理由を書かなければならなくなった、と②でお話ししましたよね。つまり【嫌がる理由は、必ず文字になっている】んです。口約束ではなく、書面で確認できます。
そのうえで、返ってきた答えを見てください。信用していい答え方は、こういうものです。
- ◯ 売主さんの具体的な事情を説明してくれる(高齢・遠方・日程)
- ◯ その事情に対する代案を出してくれる
- ◯ 「調べてみます」と言って、実際に売主さんに確認してくれる
- ◯ 対象部位や、給排水は対象外だといった限界まで説明してくれる
一方、私が気になるのはこういう答え方です。
- ◯ 「この物件は大丈夫ですよ」← 理由を物件の話にすり替えている
- ◯ 「うちはやっていません」← 会社の方針は、あなたの物件の理由ではありません
- ◯ 「必要ないと思います」← 必要かどうかを決めるのは買主です
- ◯ 「調査結果の責任を取れないので」← これ、制度上は正確ではありません
最後のものだけ補足を。国交省のQ&Aでは、【あっせんした調査の結果について、宅建業者は原則として責任を負いません】とされています。責任は調査した建築士が負うんです。ですから「責任が取れないから」と言われたら、制度を正確に把握していないか、別の理由を言いたくないかのどちらかです。
もうひとつ。「うちで調査しますよ」と言われたら、少し立ち止まってください。国交省は客観性の観点から、【売主と買主の同意がある場合を除いて、仲介する宅建業者自身が調査の実施主体になるのは適当ではない】としています。売る人が自分で検査するようなものですから、当然ですよね。
そして、これを言ってくる担当者がいたら本物です。
「保険にも入れるように、保険法人の登録を受けた検査員でやりましょう」
【既存住宅売買瑕疵保険】といって、引渡し後に構造や雨漏りの瑕疵が見つかったとき補修費用が出る、保険期間5年の保険があります。加入に必要な検査は建物状況調査と併せて実施できるのですが、住宅瑕疵担保責任保険法人の登録を受けた検査員に頼まないと保険につながりません。こちらが言う前にそこまで見ている人は、【あなたの引渡し後まで考えています】。
担当者選びそのものについては【不動産会社の担当者選びで人生が変わる理由】(記事#3)でご説明していますよ!
〜ワンポイント・アドバイス〜
今日の一点は、これです。
【媒介契約を結ぶときに、あっせんは「有」でお願いしますと言う】
たったこれだけです。
口頭で「インスペクションやりたいです」と伝えても、記録には残りません。忙しさの中で流れます。実際、雑井さんはそうやって流れました。
でも媒介契約書は書面です。そして2024年4月以降、【「無」にするなら理由を書かなければならない】。つまり、こう言うだけで、
- ◯ 「有」になれば、会社は具体的な手配をする義務を負います
- ◯ 「無」になったとしても、【その理由が文字として残ります】
どちらに転んでも、損はしません。曖昧なまま流されることだけが防げます。
【嫌がる理由を、必ず文字にしてもらう】
これが今日いちばんお伝えしたかったことです。
なお、買主側で媒介契約を結ばずに進むケースもあります。その場合は「売主さんの承諾を取ってください」と、口頭ではなくメールで伝えておいてください。同じ効果があります。
そして、売主さんでこの記事を読んでくださっている方へ。
調査を断りたくなる気持ちは、痛いほど分かります。悪いところが出るのが怖いですよね。でも実務の感覚として、【劣化が分かっている家のほうが、話が早くまとまります】。買主さんが不安なのは劣化そのものではなく、分からないことなんです。
実際、調査をせずに引き渡した後で問題が出たときのほうが、売主さんの負担は大きくなります。

まとめ:インスペクションを頼むときの確認リスト
- ☐ 「ホームインスペクション」と宅建業法の「建物状況調査」は別物だと理解した
- ☐ 対象は構造と雨水。給排水・設備は標準では対象外だと知った
- ☐ 媒介契約書の「あっせんの有無」欄を自分の目で見た
- ☐ 「無」なら、書かれている理由を読んだ
- ☐ その理由が【売主の事情】か【会社の都合】かを聞き分けた
- ☐ 代案を出してくれるかどうかを見た
- ☐ 保険まで考えるなら、保険法人登録の検査員かを確認した
最後に、もう一度だけ。
【嫌がるかどうかではなく、嫌がる理由を説明できるかどうかで判断してください】
理由を説明できる担当者は、面倒でも動いてくれます。理由を物件の話にすり替える担当者は、たぶん他のことも同じようにします。
次回予告
さて、次回は場所を変えて【中古マンション】のお話をしたいと思います。
今日お話しした建物状況調査は、マンションだと少し勝手が違います。共用部分を調べるには管理組合の了承が要りますし、そもそもマンションで本当に怖いのは、部屋そのものではないことが多いんです。
私は内見に立ち会うとき、部屋よりも先に見ている書類があります。修繕積立金がいくら貯まっているか、長期修繕計画がどうなっているか、滞納している住戸がどれくらいあるか。
ここを見ずに部屋の広さだけで決めると、購入後に積立金が倍になったり、大規模修繕で一時金を求められたりします。実際にありました。
そこで次回は【中古マンションは部屋より管理を見る|修繕積立金と長期修繕計画の読み方】をお届けします。
見るべき書類の名前と、どの数字を見ればいいかまで、具体的にお話しするつもりです。お楽しみに!
最後に
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
インスペクションについて「断られたけど、あれは何だったんだろう」と思っていることや、聞きたくても聞けなかったことがあれば、ぜひコメント欄で気軽に教えてください!
そして、すでにホームインスペクションを実施された先輩方!実際にやってみてどうだったか、費用はいくらだったか、後輩のみなさんに是非教えてください✨️ やっぱり実体験が一番ですよね!
中古住宅の判断で迷ったときは、信頼できるお近くの不動産屋さんに相談してみてください。見つけ方は、このブログを読んでくれている皆さんなら知っていますよね!
一緒に、後悔しない不動産取引を目指しましょう!
不動産売買仲介歴12年。「キレイごとなし、業界の本音」をコンセプトに情報発信中。



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