団信で止まるのは「健康診断の再検査」です|住宅ローンの生命保険

住宅ローンとお金

みなさんこんにちは!本音みなとです!

今日も不動産の本音をお伝えしていきます。今回のテーマは「団体信用生命保険(団信)」。

もちろん今日も、皆さんへの営業活動は一切しません笑

それでは行きましょう!

住宅ローンを組むとき、当たり前のように出てくる「団信」という言葉。

ネットで調べれば、仕組みの説明はいくらでも出てきます。だから今日は、仕組みの話は短めにします。

そのかわり、12年間ローンの契約に立ち会ってきて【実際に手続きが止まった場面】の話をします。

止まる原因は、みなさんが心配しているような大きな病気ではありません。

【健康診断の「再検査」です】

同じ再検査を、黙っていた人と、先に言った人

今回もいつもの2人の様子を見ていきましょう!

【雑井さん】は、気に入った中古戸建ての買付を入れて、売主さんとの話もまとまりました。契約日も決まりました。

その少し前、雑井さんは会社の健康診断で「再検査を受けてください」という結果をもらっていました。

自覚症状はありません。本人も「どうせ毎年言われるやつだろう」と思っていました。

だから、誰にも言いませんでした。

団信の告知書を書くときも、空欄のまま。

ところが銀行から確認が入りました。健康診断の結果を提出したタイミングで、再検査の指示が見つかったのです。

そこから手続きは【完全に止まりました】。

再検査を受けて、結果が出て、それを提出するまで、団信の審査は進みません。そして団信が決まらないと、【融資そのものの審査も先に進みません】。

結果が出るまで3週間。契約書に書いたローン特約の期限が、すぐそこまで来ていました・・・

【貸鯉さん】も、同じように再検査の指示をもらっていました。

貸鯉さんは、物件を探し始めた段階で、私にこう言いました。

「去年の健康診断で再検査って言われてるんだけど、これ関係ある?」

関係あります。大いにあります。

貸鯉さんは物件を本格的に探す前に再検査を受け、「経過観察で問題なし」という結果を先に手に入れました。

だから、申込みのときに出す紙が最初から揃っていました。審査は止まらず、契約から引渡しまで予定どおりに進みました✨️

二人の体の状態は、ほとんど同じです。

【違ったのは、それを「いつ」出したかだけ】です。

①団信って何?ひとことで言うと

団信とは何か

まずは結論。団信とは【住宅ローン専用の生命保険】です。

万一、契約者が亡くなったり所定の障害状態になったりしたとき、保険金でローンの残債が支払われ、【残された家族に住宅ローンの返済義務が残らない】仕組みです。

つまり、家族に「家」と「返済のない暮らし」を残せる保険。

民間の銀行では、団信への加入がローンの【必須条件】になっていることがほとんどです。

ここでひとつ、正確にしておきたいことがあります。

保障される「障害」の範囲は、商品によって書き方が違います。たとえばフラット35の新機構団信では、死亡のほかに「身体障害者福祉法に定める障害の級別が1級または2級に該当し、身体障害者手帳の交付を受けたとき」と決められています(加入できるのは満15歳以上満70歳未満)。

参考:新機構団信の加入要件・保障内容(住宅金融支援機構)

「大きな病気になったら使えるんでしょ?」と思っている方が多いのですが、【病気になっただけでは下りません】。ここは最初に押さえてください。

②団信の種類(一般団信/疾病特約付き)

団信の種類

ざっくり分けるとこの2つです。

  • 一般団信・・・死亡・所定の障害状態を保障。金利の上乗せなしが主流
  • 疾病特約付き団信・・・がん・3大疾病(がん・脳卒中・急性心筋梗塞)などにも備える。金利が上乗せされることが多い

【一般団信は上乗せなしのことが多いが、特約を付けると金利が上乗せされる】——ここが判断の分かれ目です。

③現場の実感:特約を付ける人は、かなり多い

団信の特約を付けるか判断する

ネットの記事では「よく考えて」「人によります」で終わることが多いので、私の実感を書いておきます。

【私のお客様では、疾病特約を付ける方がかなり多い印象です】

そして、決め手として聞く理由はほぼ共通しています。

「安心を買うことにした」

これです。金利の上乗せ分を計算して、損得で判断した方はむしろ少数です。

家を買うという決断を終えた直後に、もう一度「万一のとき」を考えるのは、正直しんどい作業です。そこで【迷い続けるより、少し払って終わりにしたい】——その気持ちはよく分かります。

だから私は、特約を付ける判断を否定しません。

ただし、ひとつだけ確認してほしいことがあります。

【その安心を、すでに他の保険で買っていないか】です。これは後で⑥に書きます。

④正直に言います。私は団信が使われた場面に立ち会ったことがありません

ここは本音で書きます。

12年、数えきれないローン契約に立ち会ってきましたが、【私が担当したお客様で、団信で残債が消えた方はいません】。

これは、良いことです。みなさんが元気に暮らしているということですから。

でも同時に、こういうことでもあります。

【団信は、ほとんどの人が使わないまま終わる保険です】

だから実感が湧きません。告知書も「形式的な紙」に見えてしまいます。

それでも、です。

使う確率は低いけれど、外れたときに動く金額は【家一軒ぶん】です。数千万円の借金が、残るか消えるかの話です。

確率の低さと、金額の大きさ。この2つを並べて考えるのが団信です。

そして実際に困る確率が高いのは、保険金が下りる場面ではなく——【次の⑤の、審査が止まる場面】なんです。

⑤告知でつまずくのは「再検査」。結果が出るまで、審査は1ミリも進みません

ここが今日、一番お伝えしたいところです。

団信の告知書には、過去の病歴や現在の健康状態を書きます。みなさんが不安になるのは「持病があると入れないのでは」という点だと思います。

でも、現場で実際に手続きが止まるのは、持病ではありません。

【健康診断で「再検査」「要精密検査」と言われたまま、受けていないケース】です。

これが一番多い。そして一番やっかいです。

理由はシンプルで、金融機関と保険会社から見ると【結果が分からない状態】だからです。

病気だと分かっているなら、引き受けるかどうかの判断ができます。でも「再検査の指示が出ているが結果が不明」は、判断のしようがありません。

だから、こうなります。

  • 再検査を受ける
  • 結果が出る
  • その結果を提出する

ここまで終わるまで、団信の審査は止まります。そして【団信が決まらないと、融資の審査も先に進みません】。

「団信だけ後回しにして、ローンの話を進めておく」ということはできないんです。

止まると何が困るのか——ローン特約の期限

ここで思い出してほしいのが、売買契約に付いている【ローン特約(融資利用の特約)】の期限です。

契約書には「いつまでに融資の承認が得られなければ契約を白紙に戻せる」という期限が入っています。この期限は、だいたい契約から1か月前後で設定されます。

再検査に3週間かかったら、どうなるか。

期限の延長を売主さんにお願いすることになります。了解してもらえることも多いですが、【売主さんにも次の家の予定があります】。買い替えなら、売主さんが買う家の契約日も動きます。

断られることもあります。そのときは、期限内に承認が取れずに契約が白紙に戻る——つまり、せっかく決めた家を手放すことになります。

この期限の話は、ローンの審査に落ちたときはどうなる?の記事でくわしく書いています。あわせて読んでください。

住宅ローンの審査に落ちた|理由を聞く前に、確認しないといけない期限があります

だから、お願いしたいこと

【健康診断で引っかかっている項目があるなら、物件を探し始めた段階で言ってください】

私たちに言いにくければ、先に再検査だけ受けておいてください。それだけで、このトラブルはほぼ消えます。

逆に、絶対にやってはいけないのがこれです。

【黙っておく】

告知書に書かなかったことが後から分かった場合、保険の契約そのものが解除され、保険金が支払われないことがあります。これは団信にかぎらず生命保険の共通ルールで、「告知義務違反」と呼ばれます。

参考:病歴があったのに告知するのを忘れていたら?(生命保険文化センター)

一番怖いのは、黙って契約が通ってしまうことです。審査が止まるのは面倒ですが、直せます。保険金が下りないのは、直せません。

【ここだけの話】「書かない方が通るなら、書かない方がいいですか?」と聞かれたことが何度もあります。答えはいつも同じです。【書いてください】。通らなかったら別の道を探せばいい。下りない保険に毎月払い続けるほうが、ずっと損です。

そしてもうひとつ。事前審査が通っていても、本審査で団信の告知が引っかかれば話は変わります。事前審査と本審査で何を見られているかは、こちらに書きました。

住宅ローンの事前審査と本審査は何が違う?

⑥健康に不安がある人の道は、ちゃんとあります

健康に不安がある場合の団信

団信は生命保険なので、【健康状態によっては加入できないことがあります】。

でも、あきらめる必要はありません。

  • ワイド団信・・・引受基準がゆるやかな団信。金利が0.3%程度上乗せになるのが一般的
  • フラット35を使う・・・フラット35は、健康上の理由その他の事情で団信に加入しない場合でも利用できます

フラット35について、ひとつ正確にしておきます。

2017年10月以降のフラット35は【団信が組み込まれた商品】になっていて、加入する団信に応じて借入金利が変わる仕組みです。つまり「団信なし=タダで同じ条件」ではなく、【団信なしの金利】が別に公表されています。

参考:新機構団体信用生命保険制度(住宅金融支援機構)

【ここだけの話】健康に不安があると「もう家は買えない」と思い込む方がいます。道はあります。ただしフラット35で団信なしを選ぶなら、【万一のとき家族に返済が残る】ということ。別途、生命保険で備えるなど対策はセットで考えてください。

⑦団信は「誰に」かかるのか——ペアローンの落とし穴

これは意外と知られていません。

団信は、【ローンを借りている人】にかかる保険です。

  • ペアローン(夫婦がそれぞれローンを組む)・・・それぞれが団信に入る。片方に万一があったとき、消えるのは【その人のローンだけ】。もう片方の返済は残ります
  • 収入合算(連帯保証)・・・団信に入るのは、原則として借りている本人だけ。合算した側に万一があっても、ローンは消えません

つまり、二人の収入を前提に組んだローンで、片方の収入が失われたとき——【残る返済と、失われる収入が釣り合わないことがある】んです。

ここはペアローンと収入合算の記事で詳しく書きました。共働きでローンを考えている方は、必ず目を通してください。

ペアローンと収入合算の違い|二人で借りる前に、終わるときの話をします

⑧団信があるなら、生命保険は減らせる?

団信と生命保険の重複

最後に、実はこれが一番お金に効く話です。

団信に入るということは、【住宅ローン分の生命保険に新しく入るのと同じ】こと。

ということは——以前から「万一のとき家族に住む場所を残したい」と思って生命保険を手厚くしていたなら、その保障は【団信と重複している可能性】があります。

【業界でよく見る話】団信に入ったのに、以前のままの生命保険を払い続けている方、本当に多いです。家を買ったタイミングは、保険を見直す絶好のチャンス。重複を整理すれば、毎月の保険料をぐっと下げられることもありますよ!

もちろん減らしすぎは禁物です。団信が消してくれるのは【住宅ローンだけ】で、生活費や教育費は消えません。

ただ「家を買ったら保険を見直す」——これは覚えておいて損はありません。

まとめ:団信チェックリスト

団信チェックリスト

契約前に、このリストを確認してください!

  • ☐ 健康診断で「再検査」「要精密検査」と言われたまま放置していないか(最優先)
  • ☐ 引っかかっている項目があるなら、物件探しの段階で担当者に伝えたか
  • ☐ 告知書に、書くべきことを書いたか(黙るのは絶対にダメ)
  • ☐ 団信=住宅ローン版の生命保険だと理解した
  • ☐ 保障されるのは「死亡・所定の障害状態」で、病気になっただけでは下りないと知った
  • ☐ 特約の金利上乗せが家計に無理のない範囲か計算した
  • ☐ ペアローン・収入合算の場合、誰のローンが消えるのかを確認した
  • ☐ すでに入っている生命保険と保障が重複していないか確認した
  • ☐ 健康に不安がある場合、ワイド団信やフラット35という選択肢を知った

◆ここでワンポイントアドバイス◆

団信の話を「保険を選ぶ話」だと思っていると、つまずきます。

実際に効いてくるのは【スケジュールの話】です。

家を買う手続きは、契約日・ローン特約の期限・決済日・引渡し日が数珠つなぎになっています。団信はその列の先頭近くにいて、ここが止まると後ろ全部が止まります。

だから、順番はこうです。

【健康のことは、物件を決める前に片づける】

ここもちゃんとテストに出ますよ!

契約から引渡しまでの流れは、契約当日の記事で確認してください。

不動産売買契約 当日の流れと注意点

◆ちょっとだけ裏話◆

告知書を書くとき、お客様が手を止めるのはいつも同じ場所です。

「これ、書いた方がいいんですかね?」

そう言って私の顔を見ます。そのとき私が「どちらでも」と言ってしまえば、たぶん多くの方は書かないほうを選びます。

だから私は、顔を見られたら必ず【書いてください】と言います。

それで審査が止まったら、一緒に段取りを組み直します。そのほうが、何年か先の「下りませんでした」よりずっとマシだと、本気で思っているからです。

言いにくいことを言える相手かどうか。担当者を選ぶ基準は、たぶんそこにあります。

おわりに

「再検査で審査が止まった」「持病があるけど団信に入れた/入れなかった」

そんなみなさんの体験談。コメント欄でお待ちしてます!

一緒に、後悔しない不動産取引を目指しましょう!

不動産売買仲介歴12年。「キレイごとなし、業界の本音」をコンセプトに情報発信中。

次回予告

住宅ローンのお話が続きましたが、次回からはいよいよ【物件選び】に戻ります。

次回は【物件見学で絶対チェックすべきポイント】を、仲介のプロの目線で本音解説します。それではお楽しみに!

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