競売物件のリスク|なぜ素人には難しいのかを本音で解説

物件選びのコツ

みなさんこんにちは!本音みなとです!

今日も不動産の本音をお伝えしていきます。今回のテーマは「競売物件」。

もちろん今日も、皆さんへの営業活動は一切しません笑

それでは行きましょう!

前回は買付証明書のお話でした。売主さんと交渉して、契約して、物件を手に入れる。これが一般的な売買の流れです。

でも実は、まったく違うルートで不動産を手に入れる方法があります。

それが【競売】です。

「相場より安く買えるらしい」

そう聞いたことがある方は多いと思います。実際、安いです。そこは間違いありません。

ただ、私は現場でこう思っています。

【安いのには、ちゃんと理由があります】

今日はその理由を、包み隠さずお話しします。

今回も貸鯉さんと雑井さんの例を見てみましょう!

雑井さんは、競売で戸建て住宅を落札しました。相場より600万円安く買えて、大喜びだったそうです。ところが引渡しを受けてみると、水道から水が出ず、配管をすべてやり直す必要がありました。修繕の見積もりは400万円。しかも前に住んでいた方がなかなか出ていってくれず、裁判所の手続きを取って明け渡してもらうまでに3ヶ月かかりました。その費用も数十万円。600万円の得のはずが、手元にはほとんど残りませんでした。

貸鯉さんは、同じように競売物件を検討しました。ただ、その前に裁判所が公開している資料を全部取り寄せて読んだそうです。すると現況調査報告書に「占有者あり。賃借人であると主張している」と書かれていました。ここで貸鯉さんは手を引きました。半年後、同じエリアの普通の中古住宅を相場で購入し、今も問題なく暮らしています。

同じ「競売」でも、【調べたかどうか】でここまで変わります。

①そもそも競売とは何か

まず仕組みを押さえましょう。

競売とは、住宅ローンなどが返せなくなった不動産を、裁判所が差し押さえて強制的に売る手続きです。売主が「売りたい」と言って売りに出すのではありません。

ここが普通の売買と決定的に違います。

【競売には、売主の協力がありません】

普通の売買なら、売主さんが家の中を見せてくれますし、設備の不具合も教えてくれます。契約前には重要事項説明書も作られます。競売にはそれが一切ありません。

情報源は、裁判所が用意した資料だけです。

その資料が【3点セット】と呼ばれるものです。

  • ◯ 物件明細書(買受人が引き継ぐ権利関係を裁判所書記官がまとめたもの)
  • ◯ 現況調査報告書(執行官が現地を調査した記録。占有状況や建物の状態)
  • ◯ 評価書(不動産鑑定士が価格の根拠を示したもの)

これらは裁判所の「BIT 不動産競売物件情報サイト」で誰でも無料で読めます。誰でも入札できますし、資格も要りません。

では、なぜ安いのか。

【売却基準価額そのものが、市場価格より低く設定されているからです】

裁判所が決める売却基準価額は、一般に市場価格の7〜8割程度とされています。

さらに入札できる下限は、その売却基準価額の8割です。これを買受可能価額と呼びます。

つまり、うまくいけば市場価格の7割前後で手に入る計算になります。安い理由の半分は、この価格設定にあります。

そして残りの半分が、ここからお話しする4つのリスクです。

②内見ができません

まず、これが一番大きいと思います。

【原則として、家の中を見ることができません】

普通の中古住宅なら、何度でも見に行けます。水回りを確認して、日当たりを見て、においを確かめる。当たり前のことです。

競売ではそれができません。

「制度としてはあるのでは?」と思われた方、鋭いです。実は民事執行法に内覧の規定があります。ただし、申立てをするのは差し押さえた債権者であって、買いたい人ではありません。私が現場で見てきた限り、実際に内覧が行われることはまずありません。

では何を見て判断するのか。現況調査報告書に載っている写真です。

執行官が撮影した数枚の写真。それが唯一の手がかりになります。

【写真に写っていないところは、すべて想像で判断することになります】

床下も、天井裏も、給排水管の中も見えません。雑井さんが400万円の修繕費を負担することになったのは、まさにここです。

③何かあっても、誰も責任を取ってくれません

これが2つ目です。そして、意外と知られていません。

【競売では、雨漏りやシロアリが見つかっても、売主に責任を追及できません】

普通の売買であれば、引渡し後に不具合が見つかったとき、売主に修繕や代金の減額を求められる仕組みがあります。契約不適合責任というものです。

ところが競売では、この物の不具合に関する責任が法律で外されています。民法にはっきりそう書かれています。

権利に関する問題であれば、契約の解除や代金の減額を請求できる場合はあります。ただ、雨漏り、シロアリ、給湯器の故障といった【物の状態については、買受人が全部引き受けることになります】

そして繰り返しになりますが、その物の状態を事前に見ることができないわけです。

見られない。そして何かあっても言えない。この2つが重なっているところが、競売の一番の難しさだと思います。

④前に住んでいた方が、出ていかないことがあります

3つ目です。ここが心情的に一番しんどいところかもしれません。

【落札しても、鍵が渡されるとは限りません】

普通の売買なら、決済の日に鍵をもらって、その日から自分の家です。競売にはそれがありません。

前の所有者や、そこに住んでいる方がまだ中にいることがあります。荷物が残っていることもあります。

そのときは、裁判所に引渡命令を申し立てて、それでも出ていかない場合は強制執行という手続きに進みます。当然、時間もお金もかかります。執行の費用は、まず買受人が立て替えることになります。

【しかも、この引渡命令には期限があります】

代金を納付した日から6ヶ月を過ぎると、引渡命令を申し立てられなくなります。

さらに注意が必要なのが、賃借人だと主張する方が住んでいるケースです。3点セットの物件明細書に、その方の権利を買受人が引き継ぐと書かれていることがあります。そうなると、そもそも出ていってもらえません。

貸鯉さんが手を引いたのは、まさにこの記載を見つけたからでした。

⑤お金の段取りが、普通の売買とまったく違います

4つ目です。ここは実務的な話になります。

まず入札の時点で、保証金を納める必要があります。金額は売却基準価額の2割以上です。

そして落札できた場合、代金の支払期限が非常に短いです。

【落札できたら、代金は一括で、しかもすぐに納めます】

期限は、売却許可決定が確定してからおおむね1ヶ月以内。分割もできませんし、待ってもくれません。

普通の売買なら、契約から決済まで1ヶ月半から2ヶ月かけて、その間に住宅ローンの本審査を通します。競売にはその余裕がありません。

そして、ここが一番の壁です。

【競売物件で住宅ローンを使うのは、簡単ではありません】

理由は3つあります。金融機関から見て担保評価が読みにくいこと。手続きが通常と違うこと。そして何より、審査の時間が足りないことです。

競売に対応した融資商品を扱う金融機関もありますが、金利は通常の住宅ローンより高めになる傾向があります。

期限までに納付できないとどうなるか。

【落札は取り消され、納めた保証金は返ってきません】

つまり、現金である程度動ける方でないと、そもそも土俵に上がれないということです。

〜ワンポイント・アドバイス〜

いろいろお伝えしましたが、皆さんが気になるのは「じゃあ、競売は絶対にやめたほうがいいの?」ですよね笑。

そこまでは申し上げません。実際に競売でいい買い物をされた方も見てきました。

ただ、ここだけは確実にやってください。それは・・・

【落札するつもりの金額に、修繕費と明け渡し費用を先に足してから、相場と比べる】

これに尽きます。

競売で失敗する方は、ほぼ全員が落札価格だけを相場と比べています。雑井さんがまさにそうでした。600万円安いと思ったのは、落札価格だけを見ていたからです。

そうではなく、こう考えてください。

【落札価格+修繕費+明け渡しにかかる費用=本当の取得価格】

修繕費は、中が見えない以上、最悪を想定するしかありません。水回り一式の入れ替えを見込んでおくくらいでちょうどいいと思います。明け渡しも、すんなり出ていってもらえない前提で考えておく。

その合計が相場を下回っていて、しかもその差額に納得できるなら、検討する価値があります。下回らないなら、普通に売りに出ている物件を買ったほうが確実です。

そしてもう一つ。もしこの記事を、【自分の家が競売にかけられそう】で読んでくださっている方がいたら。

競売になる前に売る方法があります。任意売却といって、金融機関の同意を得て通常の売買として売る手続きです。競売より高く売れることが多く、引っ越しの時期も相談できます。ただし競売の手続きが進んでしまうと選べなくなります。時間との勝負です。

そういう状況の方は、一日でも早く、借入している金融機関や信頼できる不動産屋さんに相談してください。ここは本当に、早いほど選択肢が残ります。

まとめ:競売を検討する前に確認したいこと

もし競売を考えるなら、この項目を確認してください。

  • ☐ 3点セットを3つとも読んだ(物件明細書・現況調査報告書・評価書)
  • ☐ 物件明細書に「買受人が引き受ける権利」の記載がないか確認した
  • ☐ 現況調査報告書で占有者の有無と主張内容を確認した
  • ☐ 写真に写っていない部分の修繕費を最悪想定で見積もった
  • ☐ 明け渡しにかかる時間と費用を見込んだ
  • ☐ 代金を1ヶ月以内に現金で用意できる目処がある
  • ☐ 落札価格+修繕費+明け渡し費用の合計で相場と比べた
  • ☐ 外観と周辺環境を自分の足で見に行った

そして忘れないでください。

【競売は「安く買える制度」ではなく、「情報が少ないぶん安くなっている制度」です】

安さは、見えないリスクの対価です。そこを引き受けられるかどうかが、判断の分かれ目だと思います。

次回予告

さて、次回はすこし特別な回になります。

このブログ、今回で【ノウハウ記事が30本】になりました。

VOL.11で10記事、VOL.22で20記事の節目にお話をさせていただきましたが、あのとき私はこう書きました。「30記事はゴールではありません」と。

その気持ちは今も変わっていません。

ただ、30本も溜まってくると、今度は別の問題が出てきます。

「どれから読めばいいのか分からない」

そこで次回は【30記事の歩き方|あなたの「今」から引ける目次】をお届けします。

これから売る方、これから買う方、住宅ローンで迷っている方、そもそも不動産屋が信用できない方。それぞれの入口から、30本を並べ直します。

ご自身に必要な記事だけを、迷わず引けるようにするつもりです。お楽しみに!

最後に

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

競売について「これは聞きにくい」と思っていることや、実際に検討して迷っていることがあれば、ぜひコメント欄で気軽に教えてください!

そして、すでに競売を経験された先輩方!良かったことも大変だったことも、後輩のみなさんに是非教えてください✨️ 経験談が一番参考になります。

競売に限らず、物件のことで判断に迷ったときは、信頼できるお近くの不動産屋さんに相談してみてください。見つけ方は、このブログを読んでくれている皆さんなら知っていますよね!

一緒に、後悔しない不動産取引を目指しましょう!

不動産売買仲介歴12年。「キレイごとなし、業界の本音」をコンセプトに情報発信中。

コメント

タイトルとURLをコピーしました